楽器のメンテナンス方法-シンバル編

はじめに

私のスタンスは、できるだけ楽器を購入したときの状態を維持したいというもの。なるべく綺麗な状態を維持することで製品の設計そのままの音を保ちつつ、その時々の必要に応じて適切なミュートを施していきたいと思っている。

メンテナンスによって防ぎたいシンバルの劣化は、皮脂や汗がシンバルに長い間付着することで起きる表面の変化である。わかりやすいのは青緑色の錆のようなものが浮き出てくる緑青の発生で、これらからシンバルを守るために行えるメンテナンスについて書いていく。

逆に、メンテナンスで防げないシンバルの劣化は、金属が変形を繰り返すことで起きる金属疲労によるものが代表的だ。これは劣化と言いつつも好ましい方向に進むことも多々あり、オーディオ機器におけるエージングに近いものがある。

さて、シンバル表面の劣化を防ぐためのメンテナンスについて、程度が軽く手軽なものから順に上げていくと、以下のような感じ。

  • 乾拭き
  • 中性洗剤で洗う
  • ケミカル(溶剤)系クリーナーで磨く
  • 研磨系クリーナーで磨く

以降はこれらについて細かく書いていく。

乾拭き

シンバルに触った後に毎回忘れず乾拭きするだけでも、多くの汚れを取り除くことができる。これはシンバルを使った後、ケースにしまう前に行うことが重要で、例えばスタジオ練習の後、家に帰ってから乾拭きをしてもあまり汚れが落ちないので注意(何もしないよりはずっと良い)。

使うもの

    • リネンやペーパータオルでもよいが、各楽器メーカーから楽器用のマイクロファイバークロスが売られているのでそれを使うのがなんだかんだで一番よい。楽器をふくのにちょうどよい大きさ、目の細かさで、洗えば繰り返し使うことができる。

手順

  • シンバル表面を布で拭く
    • シンバルの溝に入っている汚れを取るイメージで、円を描くように溝に沿って拭くと良い。

中性洗剤で洗う

乾拭きと合わせて中性洗剤で洗えば大抵の汚れは落ちるので、基本的にはここまで行えば問題ない。

オプションで精製水を使った手順も含めており、これはシンバルの変色を防ぐ意図がある。水道水でシンバルを洗った際、水道水に含まれている塩素やミネラル分が影響するのか、時間経過によって表面が変色する。精製水で仕上げることにより、この期間を大幅に伸ばすことができる。

使うもの

  • 台所用の中性洗剤
  • 台所用のスポンジ(やすりの付いていない面があるもの)
  • 布やペーパータオル(おすすめはキムタオル)
    • 水分をしっかり拭きとれるのが重要。バスタオル等大きなものを使うのも良いが、手ごろなサイズで水分を多く含んでくれるキムタオルは常に清潔で安心感がある。
  • 精製水(オプション)

手順

  • お風呂場に持ち込む(水場ならどこでも)
  • シンバルを軽く濡らす
  • 洗剤を垂らし、溝に沿ってスポンジで全体的にこする
  • 水で洗剤をしっかり洗い流す
  • 布やペーパータオルで水分をふき取る
  • 精製水をシンバル全体にスプレーする(オプション)
  • ペーパータオルで水分をふき取る(オプション)
  • 壁に立てかけるなどして、乾燥させる

ケミカル(溶剤)系クリーナーで磨く

表面が変色した場合は、ケミカル系のクリーナーで磨くと表面の状態を新品に近い状態までリセットすることができる。理想的には、上記の「中性洗剤で洗う」手順を行った後、乾燥させる前に行うとよい。

使うもの

  • 台所用のスポンジ(クリーナー専用に用意する)
  • 布やペーパータオル(おすすめはキムタオル)
  • ケミカル系クリーナー
  • 精製水(オプション)

手順

  • お風呂場に持ち込む(水場ならどこでも)
  • スポンジにクリーナーを吹き付け、溝に沿ってスポンジで全体的に1分ほどこすり続ける
    • クリーナーが一部分に溜まるとそこだけ汚れが強く落ち、シミのようになるので、これを防ぐ意図がある
  • 水でクリーナーをしっかり洗い流す
  • 布やペーパータオルで水分をふき取る
  • 精製水をシンバル全体にスプレーする(オプション)
  • ペーパータオルで水分をふき取る(オプション)
  • 壁に立てかけるなどして、乾燥させる

研磨系クリーナーで磨く

軽い錆や頑固な指紋汚れ、ブリリアントフィニッシュのくすみなどは、研磨剤の入ったクリーナーで磨くと落ちることがある。ただしこれによってシンバル表面の処理を変えることになるので、サウンドは程度の差こそあれ、変化してしまうので注意。

使うもの

  • 布やペーパータオル(おすすめはキムタオル)
  • ケミカル系クリーナー
    • MUSIC NOMAD CYMBAL CLEANERのMN111がおすすめ。比較的音の変化が少ない気がする。

手順

  • 布やペーパータオル等にクリーナーをとり、溝に沿って全体的にこする
  • 新しい布やペーパータオルでクリーナーをふき取る

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