ドラムセットを持とうという話

前書き

 自分のドラムセットを持っているドラマーは、少なくともアマチュアの中では少数派なのが現状だろう。自宅にドラムセットを置ける環境はかなり珍しく、ドラムを練習するならリハーサルスタジオに行くのが一般的であり、そこにはドラムセットが用意されている。そこにあるのだから個人で買わなくてもいいとするのも分からなくはない。

 ただ、私は自分の楽器を演奏することに慣れていたので(元々エレキベース、そこからエレキギターを弾いていた)、ドラムも当然自分の楽器を演奏したいと思っていたから、借り物のドラムを使うのは少なからずストレスがあった。

 スタジオ常設のドラムセットは状態のよくないものも多い。ヘッドが消耗しているのはともかく、フープが歪んでいたり、テンションボルトがいくつか無かったり、バスドラムのフープに引っかかるフックが歪んでいたり、まともにチューニングできないドラムセットは珍しくない。

 大手スタジオチェーン店は各種メーカーのハイエンドモデルが良い状態で置いてあったりするが、地方のリハーサルスタジオはなかなか厳しいものがある。常設機材にそれほどお金を掛けられないのは理解できるので、責めるべきところではないと分かってはいるが……。

ドラムセットを持ち込むハードル

 ということで、自分のドラムセットを買って持ち込むことにした。ちょっとためらっていたのは下記の点。

  • ドラムセットを運ぶなら車が運転できないといけなそう
  • 保管場所
  • スタジオに搬入できるのか?
  • 設置に時間がかかって練習時間が取れないのでは?

 これらがありながらも、とりあえずドラムセットをオーダーした。いずれ買うだろうし、物価も上がっていっていたので楽器も値上げされそうなタイミングだった(実際、オーダーした数か月後に2割ほど値上げされた)。

 それで届いたのがBroadkaster。特に運搬を考えずに好みのセッティングで買ったけれど、これが意外と何とかなった。

運搬

 タクシーに乗せる。以上。レンタカーやカーシェアもいいけれど、たくさん練習時間をとればとるほど無駄なレンタル料金と駐車場の料金がかかるので、よほどスタジオが遠くなければかえって安上がりなことも多い。

 とはいえこれではあまりにもぶっきらぼうなので、補足をば。ドラマーが機材を持ち込むのには段階がある。

  • スネア、シンバル類だけ持ち込む
  • ドラムセットも持ち込む
  • ハードウェアも持ち込む

 特に何も選ばなくても、ドラムセットまでは比較的何とかなる。22″のバスドラムは車種を選ぶと思うが、20″までならセダンタイプのタクシーに入る。今私が持ち込んでいるのは20″BD + 12″TT + 14″FT + 16″FTのキットだが、これはセダンに積み込むことができる。後部座席とトランクに置かせてもらって、自分は助手席に乗る。

 さて、問題はハードウェア。スタジオに常設されているようなずっしりとしたスタンドはかさばるし重い。回避策としてはDW6000ULシリーズのような軽量のフラットベースのシンバルスタンドを使うことで、ほかのハードウェアは割と何でも問題ない。そうするとハードウェアが中型のハードウェアケースに収まり、セダンのトランクに収まる。それでもトランクには14″FTを入れる隙間がある(運転手さんの荷物がなければ)。

 いま使っているハードウェアケースは下記のもの。これにシンバルスタンド4本、スネアスタンド1本、ハイハットスタンド1本、スローンの脚部1つ、シングルペダル1つ、ドラムマットを入れている。

https://www.ikebe-gakki.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=410423&bid=ec&cat=dru011

保管場所

 ドラムセットは縦に積めば、ハードウェアケースをあわせても1畳に収まるので、それほど気にしなくてよかった。太鼓が増えてきたらラックを組めばいいと思う。ネットで『イレクターパイプ』で検索すればたくさん情報が出てくるので。

スタジオに搬入できるのか?

 スタジオによる。一番楽なのは通りに面している、1階が玄関で部屋も1階にあるスタジオ。私が通っているのはこのパターン。逆に、道が狭くて荷物の積み下ろしに苦労するスタジオには持ち込むのが難しいのはしょうがない。下調べをしておけば、条件に合うスタジオは意外とあった。

設置時間

 そもそも、ドラムセットは素早く組み立てられるように工夫されている。各部のメモリロックを利用すれば、備え付けのドラムセットを自分好みにセッティングしなおすよりもかえって早く設置できる。チューニングは家で大まかにできるし、トラブルも少ない。

 試しにドラムセットを設置する様子を動画に撮ってみた。この時はチューニングも改めて行ったので20分かかっているが、いつも通りのチューニングを維持するだけなら5分くらいはここから短縮できる。しかも運動不足ですぐに息が上がってしまう私がのんびり設置してこれなので、健康的な体の人がテキパキ設置すればもっと早いはず。

あとがき

 ドラムセットを個人で所有し、それを演奏することは思ったよりもハードルが高くなかった。自分の楽器を演奏できる満足感もあるし、楽器を深く知ることができる。思い通りのサウンドが出せる環境で演奏できることの楽しさを思い出せて本当に良かった。

 自分の楽器を買いたいけど悩んでいる方。意外と何とかなるものなので、とりあえず買ってしまうと良いかもしれないです。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です